伊藤建築デザイン

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Mar.2015 -  journal

大谷石と暖炉の『自由学園明日館』

池袋にある自由学園明日館(みょうにちかん)を見学してきました。

『自由学園明日館』は、フランクロイドライトの設計で
大正10年から昭和2年にかけて建設されたものです。

ライトは旧帝国ホテルの設計と同時期にこちらの自由学園を手がけましたが、
途中で止む無く帰国することとなり、
帝国ホテルの設計監理とともにこの自由学園も、
後を弟子の遠藤新氏に引継ぎ託し、建物が完成したとのことです。

現在の建物は、
平成9年に重要文化財に指定された際に保存修理が行われたものです。
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今回の偵察!は“大谷石”と“本物の暖炉”

大谷石は栃木県宇都宮市大谷町で採れる、地場の石材、
軟らかくて軽く加工しやすく、価格も安い、
耐火性もかなりあります。

『自由学園明日館』では多くの大谷石が使われています。

アプローチの大谷石
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アプローチと連続する内廊下の床大谷石
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大谷石ボコボコ感
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大谷石の力強い暖炉
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石肌
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大谷石は光の当たり方によってツヤが出て、
やわらかい温かみがありました。

さてここで・・・建築屋が現実と理想の狭間で揺れ動きます。

“もし住宅に大谷石で本物の暖炉を作ったら”

●良いところ
本物の味がある、暖かく柔らかい雰囲気、
冬の夜、力強いまたはちろちろと揺らめく本物の炎に照らされた大谷石が艶々と輝く中、
一杯飲りながら暖炉にあたっていると、今までの疲れも吹き飛ぶに違いない。
自然の力を感じられる。

●工夫が必要なところ
既製品の暖炉やストーブとは違い建築的な煙突を一から作るので専門技術が必要。
煙突の手入れとメンテをどうするかを考えなくてはならない。
暖炉を使わない季節、煙突穴による部屋の機密性をとりにくい。
本物の火を扱うので、色々な場面を想定して安全を考える必要がある。
石肌がボコボコしているので部屋が狭いとセーターがひっかるかもしれない。

しかし暖炉に限らず、インテリアに大谷石を使うのは、とても素敵だと思います。

さて、
建物内の他の部屋も素晴らしいものでした。

立体感が広がります。
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照明
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スキップフロア
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緑に癒される窓
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1ドリンクお菓子付き見学券600円
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石と木とガラス、火、
室内にいて目に入る緑、

自然の力を感じる建物でした。